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#07 カンファレンスを通した看護過程の理解

健康科学部 看護学科 助教
友澤 満地子
研究分野:基礎看護学、看護教育

看護師が業務を進める上で、欠かすことのできないカンファレンス。長い臨床経験のなかで実感したその重要性を学生の実習を通した研究で統計化し、より良い看護教育に繋げるための手法を探っています。

 

研究テーマを教えてください。

テーマは、「基礎看護学実習 II におけるカンファレンスの指導と大学生の看護過程の理解に関する研究」です。

「カンファレンス」という言葉をご存知でしょうか。医療や介護の現場では、個々の対象者のケア計画の意思統一をはかるための会議が日常的に行われており、それを「カンファレンス」と呼んでいます。わが国では60年代初頭に、看護師間の情報共有や意思統一が重要視されるようになり、医療の現場に浸透したと言われています。それまで機能的な役割分担のもとに行われていた看護師の業務が、チームナーシングの導入とともに多様化し、責任の範囲も拡大するなかで、複数の看護師が一貫性のある看護を実行するための情報伝達と共有は不可避の事柄となりました。従来は看護師間のみで実施されていたものですが、昨今では医師や薬剤師、栄養士、各種療法士などを交えた多職種カンファレンスとして行われることも増え、患者の状況に応じて組織された多職種の医療従事者らが連携して、一人ひとりに最適な医療の提供を模索・検討しながら援助を行っています。

看護師は交代制の業務であるため、連絡の徹底が図られる必要性が高く、病棟のルーチン、ルール、機械の使い方といった種類の事務連絡が必須です。と同時に、看護計画の立案や、看護実践の評価といったことも、カンファレンスの場においては重要なテーマとなります。これまで行ってきたことの分析や、これから行うべきことの判断が、統一された意思や見解のもとでタイムリーに進められるカンファレンスは、価値観や考え方の異なる個人の集まりにおいて欠かすことのできない、非常に重要なプロセスだと考えています。

 

このテーマで研究を始められたきっかけや経緯を教えてください。

この大学に着任して実習の引率を行った際、実習に臨む学生らが看護過程への理解を深めきれず、また、患者さんの状態や状況を把握することに困難を感じているという事態に直面しました。そうした状況を打開したいと考え、解決策の一つとして思い至ったのが、カンファレンスの活用です。
看護の現場におけるカンファレンスの重要性については先に触れた通りですが、臨地実習に出向いた学生らが病院で実施するカンファレンスの内容が看護過程において有意義になり得る水準に達しているかというと、少々難しいのが実情です。学生の実施するカンファレンスにおいては、自らが直面した問題の解決がテーマの中心となり、患者さんのケアについての検討が、自分たちの学びをどう進めて行くかの検討へと置き換わってしまっているケースが多く見受けられました。

この二つの課題に対するソリューションとして、看護過程の展開に沿ったカンファレンスの実施を検討しました。カンファレンスを、情報収集 → アセスメント → 看護診断 → 看護計画の立案 → 実施 → 評価 といったプロセスに当てはめて進めることで患者さんを議題の中心とした進行が可能となり、同時に看護過程の理解も深まるのではないかと考えたのです。これらのことを体系的に実施・継続し、結果の検証をして行きたいと思い、研究テーマに据えました。

 

研究内容を教えてください

学生の臨地実習において、看護の現場と同様に患者さんの状態に合わせ、看護過程に沿ったカンファレンスを行うよう指導することで、対象への理解・看護過程への理解が深まるか、また達成感を得ることに繋がるかを明らかにすることを目的に、看護学科の指導教員13名、2年次学生83名を対象にアンケート調査を実施しました。調査は看護学科の2年次生が初めて行う重要な位置付けの実習である「基礎看護学実習II」において実施し、53名から回答が得られました。

実習の前段階である授業「看護過程」において、担当教員の協力のもと、講義の時点からグループで話し合う機会を作りました。個人作業に取り組んだ後、グループで集まって問題を討議し、まとめたことを発表するという共同学習を経て、アセスメント、看護問題の発表会も行いました。その後実習においても引率の教員に協力を仰ぎ、カンファレンスのテーマを決める際には看護過程に沿った内容を設定、特に予備調査で効果があると感じた4項目 ①看護過程のプロセスに沿ったテーマの提示 ②カンファレンスの前後の指導 ③看護過程に対する指導 ④対象理解に対する指導 について留意してもらうこととしました。学生にはその日現場で学んだことを確認し、助言を持ち帰って翌日からの看護に活かす方法について考えさせるようにしていました。

 

研究を進められる中で、今どのような課題や成果が見えていますか?

まず学生たち自身の課題として、コミュニケーションスキルの問題が見えてきました。高校までの学びのなかで他人と意見交換をする、グループで討議するといった学習形態に触れた経験が少なく、自分の意見を言うことが苦手な学生が多いことがわかりました。そうした学生らはカンファレンスにおいてもあまり発言せず、テーマ決定や目標設定に積極的に関われない、その結果、協議する内容が患者主体のものにならず、学生自身の悩み相談といったものに偏りがちな状況に陥っていました。しかし、実習後に回収したアンケートの結果、教員の協力のもとカンファレンスのテーマを看護過程に沿って設定している学生は、対象の把握や看護過程の理解に繋がったと認識しており、看護過程の展開においてカンファレンスの必要性を感じていることが明らかになっています。さらに「対象の援助の方向性が明確になり看護援助の実践につなげることができた」といった達成感を抱いていることが示唆されたことは一定の成果だと考えます。

看護師は日々、電子カルテやベッドサイドから患者さんの情報を収集しますが、全部を把握するのは難しいため、カンファレンスは追加の情報をもらったり、把握している内容の正誤を確かめたりするための大切な機会となります。学生らがその意義を理解し、患者さんを中心に据えたカンファレンスに慣れていくことと、スムースに臨床の現場に入っていけることとの相関関係を踏まえ、カンファレンスの精度を上げていくことの重要性について再認識しています。

一方、今回カンファレンスのテーマ設定や学生の指導において多くの担当教員の協力を仰ぎましたが、それぞれにカンファレンスに対する考え方が異なり、カンファレンスの捉え方における一貫性のなさが、別の課題として浮き彫りになりました。病院のカンファレンスは時代とともに進化しており、患者さんの置かれた状況に合わせて多様なカンファレンスが生まれてきていますが、看護学生の対応はまだ十分とは言えません。その状況を変えたいと思うものの、教員にも色々な考え方があり、目指すものが異なるため、大きな動きに繋げるのが難しいと感じています。

 

今後の展望やさらなる目標について教えてください。

理想は、多様な価値観を包含し、かつエビデンスに基づいた共通の概念のもとでカンファレンス指導ができることです。そのための指針となるものを、研究を通して構築して行ければと思います。現在、カンファレンスに関する研究はあまり進んでおらず、またその原因についての把握も十分にはされていません。全国の学生がどういう指導を受け、どういうカンファレンスを行い、学びにどう繋げているか、より広範囲かつ継続的な調査が必要だと考えています。私自身は今後も研究を積み重ね、活動を外部に発信し続ける一方で、研究の阻害要因についても探って行きたいと思います。そのためには、教員ごとのカンファレンスに対する考え方を把握し、個々の認識を確認していくことも必要だと感じています。少し視点を変え、カンファレンスに対する教員の考え方を研究していくことにも関心を抱いています。

カンファレンスはアセスメントの場でもあり、その時々の問題をキャッチし、解決に導き、目標を立てるといった看護の全体像を描き、実践する場でもあります。まさに看護過程そのものであり、このプロセスの訓練を積むことが、臨床での対応力の獲得につながります。学生のうちにもっとたくさん体験させられるような指導に変えて行けることが望ましいのではと思っています。

学生へのメッセージをお願いします。

看護師の仕事は、一人ではなくチームで行うものです。カンファレンスは、皆の考えを聞き、意見交換しながら患者さんにとって最適な看護を設定するために欠かすことのできない重要な場です。そのことを意識して在学中から積極的に取り組み、人と関わり合いながら学びを深めるという経験を通して、自ら学ぶという意識を身につけ、考える力を磨いていってもらえればと思っています。また、多職種連携・協働が欠かせない医療現場を見据え、看護学生同士で助け合える関係性を築きながら、困難を乗り越える力を身につけていってほしいと思います。
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